お祝い携帯
2017/05/31 夢とお金
携帯を持ち始める年齢は年々、早くなっているようです。そのきっかけは、進学祝いや誕生祝などがきっかけになることも、多いのではないでしょうか。今では、私たちの生活の必需品になってきた携帯について考えます。
目次
きっかけは合格祝い
末の子どもが中学3年生の時の話。受験を終えてようやく進学先も決まった時期のことです。
その頃、彼女の口から聞こえてくるのは、周りの友人が「携帯」を次々に買ってもらっているという話。多くは「スマホ」のようでした。
高校合格のお祝いとしての携帯電話。その昔、私も上の子どもたちに半ば「当然」のように買った経験がありました。けれど、本当にそれでよかったのでしょうか。
安易に与えてしまったものに後から制限をつけるのは至難の業。それは「ゲーム」でも経験しているはずのこと。けれど、多くの親は買ってしまっているようです。
高校に合格したという親子に共通の「喜び」の感情が、お財布のひもをゆるめます。そこにおじいちゃん、おばあちゃんが加われば、競って買ってあげることにもなりかねません。
買う前にできること
買ってしまった後で親から発せられる「ちゃんと、ルールを守って使いなさいよ!」の言葉がどれほどの力を持つのか、怪しいものです。
大人でさえ、時間のコントロールは難しい。「わかっているんだけどね…。」という大人のつぶやきはあとをたたない。未熟な子どもであればできなくて当然です。
親が一方的に決め、命令するスタイルの指示が効果的でないのは明らか。その上に、ルールが守れないからと罰を与えてしまうと、親子関係を悪くしてしまいます。思春期であればなおのこと、問題は大きくなります。その結果、子どもの携帯依存がさらに深まるというのもよく聞く話です。
コミュニケーションのツールである携帯のために親子のコミュニケーションが阻害されてしまう。なんとも残念な話です。
ルール決めのコツ
こういう場合のルール決めで何より大事なのは、親子が同じテーブルにつき、なごやかな雰囲気のもとで十分な話し合いをすることです。
① 携帯を買うにあたり、親が考えている心配事や守ってほしいルールを子どもに伝えます。
② それに対する子どもの意見をじっくり聞きます。
※この時、子どもが話している途中で、決して口を挟まないことが重要です。失敗すると子どもは、「やっぱり自分の話を聞いてはくれないんだ。」と口を閉ざしてしまいます。
③それを聞いた上で、さらに親としての考え方を示します。
④お互いが納得できるルールを作ります。
こういうやりとりが「感情的に」ではなく「理性的に」行われること。それによって、親子の信頼関係ができ、ルールも子どもが責任を持って守るという行動につながっていきます。
「買ってやったのだから、言うことを聞け。」ではお話になりません。買ってもらった手前、一応は「はい。」という返事をしたとしても、子どもは心から納得しているわけではないのです。
だからこそ、お互いが納得できるルールを決めることが重要になってきます。
さらに、そのルールが守れなかった時のことも、親子で決めておきます。
このようなやりとりを経て決められたルールは、子どもも守りやすいし、ルールを破った時に与えられる結果も、納得できるでしょう。ルールが守れそうにないときには、新たに親子で話し合えばいいことです。
「一度決めたことは、絶対変えない。」というのもいかがなものでしょう。
困った時にはいつでも話を聞いてくれるという親へ対する信頼感が、子どもの行動をより良いものに変えていくのだと思います。
どんどん便利な道具があふれている現代を生きる子どもたちは、それを使いながら、自分を律していくスキルが大切になっていきます。
そのためにも、親が極端に制限したり、一方的にルールを決めるのではなく、使い方を一緒に考えていくことは大切なことですね。
どんなに便利な道具でも、それに振り回されるのではなく、使いこなせる人でありたいし、子どもたちにもそうであってほしいと願っています。
親子のマネーカウンセラー鶴田明子