相談室でお金の不安と向き合い、自信をとりもどそう
2017/04/08 夢とお金
ここは、一般社団法人 日本ライフプラン研究所が運営する家計と暮らしと住まいの相談室です。この相談室で何ができるのかについてお話いたします。
目次
1.不安がきっかけ
1-1 幸せになるつもりだったのに
ここはファイナンシャルプランニングを仕事とするFPが運営しており、お客様は「お金の相談」に来られます。
では、お金の相談とは具体的にどういうことかというと、
・家計費のやりくりについて
・貯蓄について
・投資について
・住宅ローンについて
・教育費について
・老後資金について
・転職について
・離婚後の生活についてetc.
これをもっと大きな視野で考えてみると、すべての人に共通するのは「幸せに生きることについて」という相談です。ところが、私たちは自分が幸せに生きることを日々の暮らしの中で、そんなに真剣に考えていないようです。
子育てや自分の仕事や介護や学校や地域のボランティア活動などにおわれ、あらためてじっくりと「自分が幸せに生きること」を考える時間もないというのが本当のところでしょう。
実は、お金のことが心配になるのは、自分が幸せに生きることに不安をおぼえた時です。
「今のままのお金の使い方で子どもの教育費は間に合うのだろうか。」
「今のままのローンの組み方で本当に大丈夫なのだろうか。」
「このままの暮らしを続けていって、老後は大丈夫なのだろうか。」
ところが残念なことに、日本人はお金の話が苦手です。
1-2 お金のことが話せない
家族で、夫婦でお金のことが話題になると、誰かの機嫌が悪くなったり、空気が凍りついたりしていませんか?
「お金の話は、“はしたない”。」とか、「お金がすべてではない。」とか、「お金より大事なものがある。」とか「子どもはお金のことを考えなくていい。」などと言われて育ち、私たちはお金のことを考える習慣が身についていないようです。
その上お金の勉強は学校でも習いませんので、どうすればいいのかわからないのです。
その苦手なことを家族で話し合おうとすると、今度は別の問題も出てきます。
1-3 家計のことがわからない
統計をとったわけではありませんが、多くの家庭では家計を正しく把握して暮らしていないようです。つまり実際に、お金の問題があるのかないのかが正しくわからないのです。
また、社会のしくみも正しく理解していないために、必要以上に不安にかられ、無駄な出費をしたり、反対に備えが足りていない場合もあります。
そこで相談室の出番です。
中立な第三者という立場でFPがお客様のお話をお伺いし、一緒にお客様の幸せな人生について考えるお手伝いをします。
ところがここでもう一つのハードルがあります。
1-4 わが家の家計がまるはだか
正しく現状を把握し、将来のことに備えるためには、お客様にはお金に関してすべてお話ししていただかなくてはいけません。
家族の収入、預貯金の額、保険契約、ローン契約、毎年の支出。
つまり、給料明細から預貯金それにお金の使い方まで、すべて見せていただくことになります。
つまりお金に関して「まるはだか」になっていただくわけです。
多くの方は、自分の給料明細を親やきょうだいでさえ見せることは滅多にありません。それなのに他人にそれをすべて見せるなんて!というわけです。
ですが、そこは乗り越えていただかないと正確な判断はできません。
こんなとき、わたしたちは健康診断の例をだします。
健康診断でレントゲンを撮るときに、恥ずかしいからといってハダカにならなければ、正確な判断はできませんね。お金の診断も同じことです。
2.安心を手に入れる
2-1 現状を正しく把握する
私たちは、収入と支出を分析し、「キャッシュフローシミュレーション」という表とグラフを使ってお金の診断をしていきます。
まず現状を分析し、将来を予測します。その結果、どこかで預貯金残高がマイナスに転じることがあれば、そこに対する対策を考えていきます。
そして、このキャッシュフローシミュレーションを作成する上でもう一つ重要な作業があります。
それは、『イベント表』という、今後10年、20年…50年先の将来を考えるということです。
2-2 未来を考える
現在、日本人の平均寿命は男性80.70歳、女性は87.05歳です。
今、30代の人は人生があと50年から60年あるということ。定年を迎えた人でさえ、20年から30年の時間があるのです。
今の暮らしだけでなく、長い将来へ向けてどういう人生を送りたいのか。お金のことを考える前にそのことと向き合うことをしてもらいます。
すると、多くの人が新たな自分を発見したり、パートナーの知らなかった一面が見えたりしてきます。
子どもが巣立ち、仕事を終え、その後自分はどんな風に暮らしていきたいのかを考える作業は、とりもなおさず今の生き方を考えることにもなります。
その上で、あらためてやりたいこと、欲しいものをあらいだし、優先順位をつけて夢を叶えるための対策を考えていくことになります。
2-4 理解しあう
ある人は、老後に小さな喫茶店を開きたいと考えました。自分が大切にしているレコードが奏でる音楽をバックにコーヒーを入れ、お客さんをもてなす姿を想像されました。
パートナーはビックリです。「あなたがそんなことを考えていたなんて、少しも知らなかった。」
でも、当の本人も「実は、自分も思っていなかったけど、考えていたらこうなりたいと思いついた。」という具合です。
そんな遠いことではなくても、今の仕事のキャリアアップのために資格を取る、ということもあるかもしれません。
それは、いつから始めて、いくらくらいかかるのか。それによって年収はどのくらいアップする見込みなのか。
子育てが始まったばかりのカップルは、妻が働くかどうか、またどういう働き方をするのかの選択があります。
① 専業主婦のまま、暮らすという選択。
② 働きはするけれど、扶養の範囲で働くという選択。
③ 子どもが小さいうちはパートで、その後正社員で働くという選択。
④ ずっと正社員として働くという選択。
これによってシミュレーションは大きく変わります。
希望されるあらゆる条件を加味しながら幾通りものシミュレーションを作り、ご家族でどのプランを選択するのか考えていただきます。
3.選択、決断する
「あと数年で仕事をやめたい。」と漠然と考えていた女性がいました。
① 3年後に仕事をやめて、あとは専業主婦をする。
② 3年後に仕事をやめて、あとはパートで少しだけ働く。
③ 今のまま働き続ける。
シミュレーションのグラフは大きく変化しました。
その結果、彼女はもうしばらく今のまま働き続ける選択をしました。
その過程のなかで、今の自分の仕事について改めて何が嫌になったのかを考えるきっかけにもなったようでした。
また、私たちは正社員でいることの大きなメリットを社会保障の視点からお話することもでき、彼女の大きな意識の変化につながりました。
このように、頭のなかで考えているだけでは見えてこなかったことも、目に見えるシミュレーションという形にすることで明確にどうしたいのかが見えてきます。
そして、どなたも選択、決断されます。
また家族で、夫婦で、将来について話し合う大きなきっかけになります。
それは間違いなく、「幸せに生きること」について話し合うことです。
自分のことが一番わかっていないのは自分ということはあります。
私たちと一緒に、「幸せな人生」について考えてみませんか。
親子のマネーカウンセラー 鶴田 明子