確定拠出年金(iDeCo)、運用商品を選ぶ前に決めること
2017/04/03 資産運用
確定拠出年金制度が日本に上陸したのが2001年。
それから15年の間に、その制度を利用できる人の範囲がじわじわと広がり、2017年1月からは公務員や専業主婦も利用できるようになりました。(確定拠出年金個人型「iDeCo」)
目次
1.確定拠出年金制度の目的は 「老後資金の積み立て」
確定拠出年金制度の目的は 、ズバリ「老後資金の積み立て」 です。
税法上のメリットも大きく、将来の老後資金の積み立てを考えている方にはイチオシです。
制度の仕組みや税法上のメリットなどについては、厚生労働省のホームページをはじめ多くの金融機関などで解説されていますので、そちらを参照下さい。
ただ、あちこちで解説されているその内容を見てみると、大切なことが一つ、抜け落ちているように私には感じられます。
その 「大切なコト」 とは・・・
いの一番に(まず最初に) 「目標金額を決める」 ことです!
2.運用商品(投資信託など)を選ぶ前に決めること
金融機関などのホームページを見てみると、概ね次のような点について解説してあります。
・確定拠出年金(iDeCo)のメリット
・運用商品の紹介
・申し込み、手続きの仕方
しかしこれだけでは、たくさんの運用商品の中から何を選べばよいのかわからない方が多いのではないでしょうか。
確定拠出年金(iDeCo)に限らず、ファンド積立であれ、積立NISAであれ、
その運用商品を選ぶ前に決めるべきことがあります。
それは、「目標金額を決める」 ことです。
目標金額が決まらなければ、「毎月積み立てるお金」 に「どの程度働いてもらわなければいけないのか」 わかりません。
「毎月積み立てるお金」 に 「どの程度働いてもらわなければいけないのか」 わかれば、その働き方が期待できる運用商品を選べばよいのです。
3.目標金額を決める
A.「毎月の積立金額」(=限度額以内で各自が決める金額)
B.「積立期間」(=各自の60歳までの期間)
C.「目標金額」
この3つが分かれば、「毎月積み立てるお金」 に 「どの程度働いてもらえばよいのか」 が分かります。
A.毎月の積立金額と B.積立期間が定まっている場合、
目標金額が大きいほどお金には働いてもらう必要がありますし、
逆に目標金額が小さければ、そんなに頑張ってお金に働いてもらわなくてもよいのです。
《 具体例 》
A.積立金額 = 1万円/月、B.積立期間 = 30年、としたとき(積立総額 360万円)
C.目標金額 = 1,000万円 ⇒ 必要となるお金の働き:年率6%
C.目標金額 = 500万円 ⇒ 必要となるお金の働き:年率2%
積立てるお金にどの程度働いてもらいたいのか、それによって選ぶべき金融商品も自ずと見えてきます。
「目標金額」 を決めないまま(わからないまま)、やみくもに(あるいは漠然と)金融商品を選ぶのは、
それこそ博打を打つようなことにもなりかねません。
4.確定拠出年金(iDeCo)の目標金額はどのように決めればよいのか?
確定拠出年金制度に限らず、資産運用を行う際には「目標設定」は必須です。
(けれど、目標を明確に定めないまま資産運用している人がとても多い)
目標設定に関わる二つの数字
イ.目標金額
ロ.運用期間
確定拠出年金の場合、「ロ.運用期間」 は 「60歳まで」 ですので、
問題となるのは 「イ.目標金額」 です。
さて、この 「目標金額」、どのようにして導き出せばよいのでしょうか?
理想的な方法は概ね次のようになります。
4-1.老後の生活に必要な貯蓄金額を考えましょう。
まず、老後の生活のために、自分にはどの程度の貯蓄が必要かを考えましょう。
毎年どの程度の生活費が必要か、充実した人生にするために、どのようなことのためにどのようなお金が必要か、などなどです。
公的年金の受取予想額などを考慮した上で、自分に必要な貯蓄金額を考えます。
「遠い先のことはわからない!」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
一度立ち止まって現在の生活を見つめてみましょう。そこから将来を予想します。
今まで私が関わったお客さま方も、最初は「え~、難し~い」と言っていましたが、ちょっとした手助けさえあれば、みなさんしっかり将来のお金のことも考えられるようになります。
4-2.退職時の貯蓄金額を予測しましょう
次に、現在の生活を続けて貯蓄した時に、退職時にはどの程度の金額になるのかを予測しましょう。
このプロセスは、素人の方には少しばかり骨が折れるかもしれません。
これから退職までの間、いろいろなことがあるでしょう。
マイホームを購入して住宅ローンの支払いが続いたり、子どもの成長とともに教育費も膨らんでくるでしょう。
せっかく貯めた貯蓄を取り崩す時期もあるでしょう。
退職までのお金の出入りを予想して、退職金のある方はそれも加算して、最終的に退職時の貯蓄金額を予測します。
(家計と暮らしと住まいの相談室では、ファイナンシャルプランナーがキャッシュフロー・シミュレーションという方法を使って、お客様の貯蓄の推移を予測しています)
4-3.「必要な貯蓄金額」 と 「退職時の予測貯蓄金額」 の差額
最後に、「1.老後に必要な貯蓄金額」 と 「2.退職時の予測貯蓄金額」 の差額を求めます。
これは即ち老後に不足する金額で、これはそのまま、退職までに新たに積み立てることが望ましい 「目標金額」 ということになります。
とても面倒だな~、とお感じになる方も多いのではないかと思いますが、時には立ち止まって、自分自身のこれからの人生について考えてみるのも良いのではないでしょうか。
(自分の人生、豊かで安心できるものにできるかどうか、あなた次第です)
ファイナンシャルプランナー 三谷慶太