【相談事例】働きながら年金をもらうと、年金が減らされると聞きました。本当ですか?
2023/08/02 老後
もうすぐリタイアメントという方からのご相談です。Aさんの夫Bさんは、来年65歳になり年金を受け取り始めます。現在は継続雇用で働いていますが、働けるうちはもう少し延長して働きたいと思っています。でも、働きながら年金を受け取ると年金が減らされると聞いてFPに相談に来ました。本当ですか?
(60代ご夫婦)
目次
在職老齢年金とは?
老齢年金は、加入していた年金制度により「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があります。
サラリーマンや公務員など、厚生年金保険や共済組合等に加入したことがある方には、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が支給されます。
働きながら(厚生年金保険に加入しながら)老齢厚生年金を受け取る場合、報酬と年金の月の合計がある一定の金額(支給停止調整額)を超えると、年金の支給額が全部または一部停止される場合があります。これを「在職老齢年金」と言います。
どれくらい働くと支給停止になるのでしょう。計算の方法を見てみましょう。
まず、計算の前に押さえておきたい点があります。
※厚生年金保険に加入しない働き方の場合は「在職老齢年金」の対象にはなりませんので、年金は全額受け取れます。
※老齢基礎年金は支給停止の対象にはなりませんので、老齢厚生年金だけを計算します。
※加給年金を受け取っている場合は、加給年金の額は除いて計算します。
在職老齢年金の計算方法
計算方法は次の通りです。
計算方法
※令和5年4月から令和6年3月までの支給停止調整額は48万円です。
①基本月額 : 年金年額を12で割った額
②総報酬月額相当額 : 毎月の賃金+1年間の賞与を12で割った額
❶①+②≦48万円のとき・・・全額支給
❷①+②>48万円のとき・・・支給停止額は (①+②-48万円)×1/2 ←48万円を超えた分の1/2支給停止
Bさんの計算例
①基本月額 : 120万円÷12=10万円
②総報酬月額相当額 : 28万円+5万円(1年間の賞与60万円÷12)=33万円
❶①+②=43万円
Bさんの場合は48万円を超えませんので❶の計算となり、年金は全額支給されます。
他の計算例
①基本月額 : 180万円÷12=15万円
②総報酬月額相当額 : 35万円+10万円(1年間の賞与120万円÷12)=45万円
❷①+②=60万円
支給停止額は (①+②-48万円)×1/2 =6万円 ←48万円を超えた分の1/2支給停止
この方の場合は48万円を超えますので❷の計算となり、超えた分の1/2の6万円支給停止となります。
調整後の年金受給月額は
❸①-(①+②-48万円)×1/2で計算し、マイナスになる場合は老齢厚生年金は全額支給停止となります。
つまり、年金の基本月額より支給停止額が大きい場合は全額支給停止になるということですね。
※老齢厚生年金が全額支給停止になった場合、加給年金も全額支給停止となります。
※一部支給停止の場合には加給年金は全額支給されます。
以上、分かりやすく書いたつもりですが、文字での説明ではなかなか頭に入ってこないかもしれません。
ご自分の場合は?をお聞きになりたい方は、ぜひ初回相談をご利用くださいね。
ファイナンシャルプランナー 平野 佳代子