子どものメディア規制
2023/06/02 家族関係
子どものスマホトラブルに頭をなやませている保護者は多いだろう。自治体で規制を作っているところもあるそうだ。
たとえば
・家族のいるところで使う
・食事時は使わない
・夜9時以降のメールはやめる
・「スマホや携帯電話でメール、インターネット、ゲームなどをする時間が長いほど成績は悪くなっている」とする東北大学の研究者などの調査をもとに「1日1時間以内」と呼びかけている。
・必要のないスマホや携帯電話を持たせない
・有害サイトを閲覧制限する「フィルタリング」サービスを受ける
・午後9時以降は親が預かる(使用禁止)
・携帯・スマホは夜10時から朝6時まで使わない
・歩きスマホや自転車に乗りながらの使用は禁止
※無料通信アプリLINE(ライン)などを使ったトラブルを回避するために、PTAや学校と協力して宣言の実行に取り組む。
※家庭に対しては、「正しく、楽しく使うため家族の協力が必要」として、「禁止期間中はリビングなど家族の目につきやすい場所で保管する」などを求めている。
目次
大人が「規制すること」の問題点
ところが、子どもを育てる視点で考えると、大人の側から「規制すること」の問題点が見えてくる。
いつも基本として考えているのは、子育ての目的。
私にとってのそれは、
『保護者がいなくても幸せに生きていけるように、自立させること』だ。
自立のためには、自律が必要。つまり、セルフコントロール。
周りから規制をされるということは、自律から遠ざかることになる。
緊急避難的に、規制が必要な場合を除き、やはり原則に立ち返ると、大人の側からの規制を考える前にしなければならないことがたくさんある。
「NPO法人 子どもとメディア」
子どものネット依存などの問題に取り組んでいる「NPO法人子どもとメディア」の人と話をする機会があった。
子どもがネットに依存してしまうのは「寂しさ」から。現実世界で自分を認めてもらえず、仮想の世界に逃げ込んでいる。そこで、「いいね」をもらい「フォロワー」の数が増えることで自分が認められた感覚を持つ。自信のなさの現れだ。
学校でも家庭でも自分が認められていない感覚を持っていれば、それが真実でない仮想の世界でも、認められていると感じられる世界にのめり込んでしまう。
保護者からの「勇気づけ」
子どもが誰よりも認めて欲しいのは保護者だろう。
お父さん、お母さんから「あなたはありのままで価値がある。」「あなたのことを無条件で愛している。」というメッセージが子どもの自信を育て、自尊感情を育てる。アドラー心理学でいう『勇気づけ』の出番。
大人の規制は「勇気くじき」
ところが、外からの規制は、「あなたは自分では何もできない子。だから守ってあげる。」というメッセージになる。それは『勇気くじき』。子どもの自信を奪うことになる。大人の側は「大切な子どもたちを守っている。」という気持ち。まさに子どものために「よかれ」と思ってやっている。その瞬間を切り取ればうまくいったように見えるかもしれないが、長い目でみればよいやり方ではない。
ルール決めのポイント
ルール決めで必要なのは、ルールを守る側が納得して決められたものであること。つまり子どもたちがそのルール作りに参加し、考え、納得して決められてこそルールには実効性があるし、子どもの自信にもつながる。ルールを作る過程で自尊感情も育つ。
ところが、そういう話し合いができない家族がいる。いつもルールは親からの「指示・命令」になっていて、子どもが不満をいっぱい心にため込みながら「守らされている」場合。あるいは子どもの言いなりになってしまい、ルール自体が存在しない場合。どちらも子どもを育てないし、子どもの自尊感情は傷つけられる。
安心感と信頼感のある関係の中で、問題を取り上げ、その解決方法を考えて、家族みんなが納得するルールづくりをする。その話し合いの中で、子どもが抱えている問題も明らかになってくるかもしれない。そうなれば、保護者も具体的にどうすればよいのかを一緒に考えることができる。
大切な親子関係
子どもとメディアの人も話していた。問題が起こった時に解決できるかどうかは、親子関係が良好か否かに関わってくると。
子どもは大人が守らなければ生きていけないひ弱な存在ではない。子どもはみな、大きなパワーを秘めている。その子自身の持つ力を信じ、認め、多いに励ますことで自立と自律の力を育てていく。
そのためには、保護者の自尊感情も必要だ。
「子どもに嫌われたくない。」という理由で、言われるままにスマホを買い与える保護者。PTAでルールを決められても、守らせることができない保護者もいる。
保護者への勇気づけ
子どもの問題を考えながらいつも思うことは、保護者への「勇気づけ」も必要だということ。
そのために、保護者自身も学ぶことが大切だし、保護者へのサポートもいるのだと思う。
子どもと向き合う時に必要なのは、親の偉大さではなく、人としての安心感。
そして大事なことをもうひとつ。
お父さん、お母さん。
ありのままのあなたたちに、子どもが無条件の愛情を注いでいることに、気がついていますか?
親子のマネーカウンセラー 鶴田明子