物価高騰時の「消費・浪費・投資」
2023/05/30 家計
物価が高騰している。
ウクライナ侵攻の影響のみならず、様々な要因が幾重にも重なり、物価の値上がりに影響をあたえているのだろう。けれど今後はこの状況のなかで暮らしを組み立てていく必要がある。
目次
消費行動を見直そう
こんな時こそ消費行動をしっかり見直すことは、今だけでなく、長い人生のためにはとても大切。
値上げ前の買いだめ行動には特に注意が必要だ。世間に広がる「大変だ!」の雰囲気にのまれ、買いだめをしてしまう。本当に必要なものを適切にまとめ買いをするのであればいいのだけれど、そういう時にはついつい買いすぎてしまうのではないだろうか。
そして、消費期限までに使い切れず、結局は使わないままムダになってしまったり、大量に買っているからと使い方が雑になったりすることもあるだろう。
不安な感情のままに買い物をしてしまうと、賢い消費者になるはずが、残念な浪費家になりかねない。
せっかく購入したものが、浪費にならないよう、今後の行動には気をつけたい。
3つのお金の使い方
お金の使い方には3つある。
「消費」と「浪費」と「投資」だ。
「消費」とは、お金で自分の欲しいものを手にいれること。
「浪費」とは、買ったものを、ムダにしてしまうこと。
「投資」とは、そのことによって新たな価値を生み出すものにお金を使うこと。
私なりに簡単に表現するとこんな感じ。
消費者として日々の暮らしに必要なものを考えて買うことはとても大切。その買い方の癖は、一生を左右すると言っても言い過ぎではないだろう。
たくさん稼いでいる人も注意が必要。現役時代は余裕ある暮らしができていたとしても、年金生活になった時に、その買い方の癖を直すのはとても大変。収入が多いからと考えずに消費していると、現役時代に破綻をすることさえある。
消費行動の変化
最近私が心がけていることの一つがまとめ買いをしないということ。割安だからという理由で大きめのものを買うことも控えるようにし、極力、ストックもしないと決めた。調味料は割高でも棚にすっぽり収まる小ぶりのサイズのものを買うようにした。夫婦ふたりの生活にはちょうどいい感じ。
子どもを育てているときは、多くのものをストックし、マヨネーズやケチャップは割安なジャンボサイズ、子どものお腹をすぐに満たせるようにとより良い準備をしているつもりでした。そのために台所にはカラーボックスを重ねて棚を増やし、押し入れの中にもストックコーナーを設け、「これで良し!」と思っていました。
数年前に断捨離を学び、大量のストックは自分の不安のあらわれだと知り、少しずつ整理を始めた。すると次々と出てきたのは、自分でも気づかないほど同じものを何個も購入し、期限切れになってしまったものたち。
深く深く反省し、少しずつものを手放していくとストックの為に準備したカラーボックスが必要なくなり、部屋はどんどん広くなっていった。ストックコーナーも引き出しひとつ分と決め、一目でわかる範囲に収めると買いすぎもなくなり、ムダにする食材はずいぶん減ってきた。
同じ調子で洋服も見直した。あまり服を持っていないつもりだった私でも、広げてみると結構な量の服。「いつかまた着れるかも。」「これ、好きだったんだよね。」「これは、思い切って買った(高かった)ものだったな。」など、心の声が聞こえてくる。でも、何年も手を通しておらず、この先、着そうにない服たち。そして、一枚ずつ今の私が着たい服を選択していった。
今では、タンス1つとクローゼットに1年分の洋服が余裕で納まっている。そう、衣替えの必要がなくなったのだ。時間の節約にもつながった。
投資のおかげ
FPとしては情けない話だが、私は金融商品への投資に関してはとても奥手。育つ過程で親から「投資は怖いものである。」との洗脳をたっぷり受けたためか、投資に関する知識もなかなか私の中に定着しない。
そんな私の得意な投資は「自己投資」。実は、私にとって「断捨離」を学んだことは紛れもなく自己投資。ちょっと本を読んだりしたのではなく、しっかりお金をかけて勉強した。通信教育で2年間とセミナー参加。それなりの費用がかかったが、その効果はかけた費用以上のものだったと実感している。
もう一つ、大きなリターンがあったのは「親子関係・人間関係」を学んだこと。今ではFPとともに私のもうひとつの仕事の柱になっている。
あらためて言うが、人間関係を良くするコミュニケーションスキルを学ぶことは「自己投資」の中でも超おすすめの投資先。
「人生の満足度を決定づける最大の要因は人間関係の質」と言われるくらい、人間関係は大事。
家族だからうまくいくのではなく、家族だからこそ難しいと私は思っている。
「相続が争族になり争続となる」という言葉があるように、コミュニケーションのまずさで家族は大事な場面でもめるのだ。
どんなにたくさんの財産を残すより、家族関係を良好にすることは大きな財産だと思っている。
長い人生で考える「消費・浪費・投資」
セミナーなどでよくする話の一つに、セカンドライフの話がある。
人生100年時代と言われる今の時代、現役時代に仕事に使った時間と同じかそれ以上の時間がセカンドライフにはあるということ。
その時に備えて自分自身の消費の仕方を考え、なるべく浪費をへらしていきたい。
セカンドライフに向けて、金融商品への投資もとても大切。特に若い人には「時間」という最大の味方があるからだ。私のように親からの洗脳を受けた人はもちろん、そうでない人もきちんと勉強をして将来に備える投資を開始してほしい。勉強の場は『家計と暮らしと住まいの相談室』にたくさん準備されています。
家計のやりくりが苦手な人は思い切ってその部分をプロに任せるのも大事な自己投資。そのために私たちファイナンシャルプランナーはいるのです。
将来に対する心配や不安から解放され、自分や家族のために時間やエネルギーを使えるようになりますよ。
親子のマネーカウンセラー 鶴田明子