介護が始まる前に知っておきたい2つのこと
2017/05/07 介護
ある日突然、親が倒れて介護が必要になったら、あなたはどうしますか?
「最近親の様子がおかしいなぁ~」と思った時、誰に相談しますか?
親が倒れて急に介護が始まった人の多くは、目の前の状況に混乱し、何をどうしたらいいのかわからずに、必要なサービスも受けないまま、ストレスだけをためてしまいます。
また、「親の様子がおかしいなぁ~認知症かも?」と思っていても誰にも相談できず、介護離職してしまった方もいらっしゃいます。
介護はいつ始まるかわかりません。介護が始まってからネットでいろいろと調べても、情報量が多すぎて、時間がかかってしまいます。介護がいつ始まっても慌てないように、今のところ介護は必要ないと思っている方も、次の2つことだけは「事前準備」として、ぜひ覚えておきましょう。
事前に準備しておくこと
厚生労働省の「仕事と介護 両立のポイント」のなかにも、「事前に準備しておくこと」として2つのポイントをあげています。
1.介護保険制度・介護サービスの概要を把握しておくこと
2.介護に直面した時にどこに相談すればよいか、その窓口を知っておくこと
目次
1.介護保険制度・介護サービスの概要を把握しておくこと
1-1介護保険制度とは
介護保険制度とは、高齢者が利用する介護サービスを公的保険でまかなうための制度で、2000年に施行され介護保険法に基づき実施されています。 40歳以上の方は介護保険制度の被保険者として、介護保険料を納付しなければなりません。
そして、65 歳以上で介護や支援が必要と認定された場合に、介護保険サービスを受けることができます。(40 歳から64 歳であっても、特定の疾病により介護が必要と認定されれば介護保険サービスが受けられます)
1-2どのような介護サービスが受けられますか?
介護する場所や家族の状況に応じて、さまざまなサービスを利用することができます。
1-3介護保険サービスを受けるのにお金がかかりますか?
介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)です。
ただし、介護の度合い(要支援1~2・要介護度1~5)によって、保険の対象となる費用の上限が決まっていますので、その上限を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
また、特別養護老人ホームなどの介護保険施設を利用する場合には、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)負担のほかに、居住費・食費・日常生活費なども負担する必要があります。
1-4 介護保険サービスを受けるにはどうしたらいいですか?
介護保険サービスを利用するためには、介護や支援を必要としている方がお住まいの市区町村窓口で「要介護・要支援認定の申請手続き」が必要です。
詳しい手続きについては、次にでてくる、「2.介護に直面した時にどこに相談すればよいか、その窓口を知っておくこと」で相談する担当者が申請手続を援助してくれるケースが多いので、申請が必要かどうかも含めて相談しましょう。
2.介護に直面した時にどこに相談すればよいか、その窓口を知っておくこと
2-1入院していたらケアマネジャーへ
急に倒れて入院した場合は、病院のケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーと呼ばれる方に相談しましょう。
相談はできるだけ早い時期にすることをおすすめします。というのは「要介護・要支援認定の申請手続き」をしたからといって、すぐに介護サービスが利用できるわけではないからです。申請からサービス利用までは、通常1ヶ月程度かかります。退院してすぐに介護サービスを利用したいということを相談者にきちんと伝えましょう。
もし間に合わない場合も、その間は実費を払い、介護認定後に利用開始時にさかのぼって申請手続きをすることができます。
2-2自宅なら地域包括支援センターへ
「自宅に住んでいる親の様子がおかしい。どうしよう?」と思ったら、親が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談に行ってください。
地域包括支援センター(福岡市はいきいきセンターふくおかと表示)は、いくつかの小学校区ごとにあり、それぞれのセンターが統括している地区が決まっています。インターネットで「地域包括支援センター ○○市」と検索すると出てきます。介護相談ができる曜日や時間は、それぞれの市によって違いますので、事前の確認が必要です。
2-3地域包括援センターに行く時に必要なもの
地域包括支援センターに相談に行く時は、事前に電話することをおすすめします。せっかく行ったのに担当者が不在だと二度手間になってしまいますので…日時とどなたを尋ねたらいいのか確認して訪問しましょう。
場合によっては介護保険の申請手続きをするかもしれませんので、次の書類を持っていきましょう。
・「介護保険被保険者証」(65歳以上の人に市から郵送されています)
・被保険者本人のマイナンバー
・申請する人の身元を確認できる書類(免許証など)
・かかりつけ医の氏名、医療機関の名称・所在地・電話番号がわかるもの
2-4地域包括援センターの担当者に伝えること
地域包括援センターの担当者に現在の状況(親のことや自分のこと、兄弟のことなど)を伝えてください。日頃思っていることを紙に書いて持っていくと言い忘れが防げるし、相談にのってくれる方にもきちんと伝わります。まずは自分が困っていることを伝え、そのうえで専門家の意見を聞き、親にとっても、自分やほかの兄弟にとっても良い方法を探していきましょう。
2-5平日にお休みが取れない方は「働く人の介護サポートセンター」へ
地域包括支援センターは平日のみのところもあり、わざわざ休暇をとって相談に行けない場合も、福岡市にお住まいの方や福岡市で働いている方であれば、介護に直面した場合でも離職せずに働き続けられるよう、介護と仕事の両立について相談を受けている、「働く人の介護サポートセンター」(福岡市役所本庁舎地下1階)を利用してはどうでしょうか。仕事帰りや日曜日に相談することができます。
詳しくはこちら、「働く人の介護サポートセンター」
福岡市 働く人の介護サポートセンター (fukuoka.lg.jp)
3.まとめ
介護に直面した時、①介護保険制度により利用できる介護サービスがあること。そして、②どこに相談すればよいかを知っているだけで、初期対応にかかる時間が短縮できます。
早い時点で専門家に相談することにより、無駄なストレスと無駄な時間を軽減することができます。それは、介護する方にとっても、介護される方にとっても不安な気持ちを軽減することにつながります。
そして最後にもうひとつ、事前にやっておくことは、ときどき親と話をすることです。
ファイナンシャルプランナー 久恒 恵美子